迎春記

しがないゲイの日常

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朝市のアイドル(2024/1/8)

衝撃のニュースと共に明けた2024年。

地震が来たとき、私は家族と共に地元のシャトレーゼにいて、親戚宅へのお年賀を買うために会計の列に並んでいた。私の地元は震源からは離れていたので、本震でも震度は3程度。揺れに気付いたのは店内にいた客の2、3人で、最初は「どうせよくある地震の一つだろう」と思っていた。......前に並ぶ客がスマホを片手に驚いた声を上げるまでは。

「能登半島で震度7だって!」

震度と震源地を聞いてサッと血の気が引いた。恋人が富山に帰省している。

LINEを確認してみると、16時10分に「また揺れてる!」「え!」「やば!」というチャットが来て以降、既読が付かなくなっている。次に「大丈夫」と連絡が返ってきたのは16時40分を過ぎた頃だった。この30分間は、2024年の初日にしておそらく今年一番怖かった30分間になると思う。

年明けに会った際に帰省時の様子を聞いてみると、庭の灯篭が倒れたり、ブロック塀が崩れたりはしたものの、家族や知人に怪我はなかったらしい。「母親が夜怖くて一人で寝られないって言ってきたんだけど、結局一番爆睡してたんだよね。なんなら普段より寝てた」と笑って話していたけれど、それが笑い話になって本当に良かったと思う。

 

徐々にネット上に出回り始めた被災地の映像は、どれも息が詰まるものばかりだった。特に辛かったのは、4か月前に旅行で訪れたばかりの輪島市の朝市通りの被災映像。お昼に海鮮丼を食べた食堂も、立ち寄った土産物屋も、地震後の大規模火災で全て無くなっていた。

私の記憶にある朝市通りは、歴史を感じる古い店舗が並ぶ通りの中に、比較的最近オープンしたような新しいお店も点在していて、長い輪島朝市の歴史を世代を超えて大切に守ってきていることが十分に伝わってくる街並みだった。そんな街を一晩で焼け野原にするなんていくらなんでも残酷すぎる。

私が2023年9月17日に訪れた際の朝市通り

人慣れしている猫にも出会った

SNS上で「心の平静を保つため、必要な情報を入手したあとはそうした映像を何度も見ないで」と注意喚起がされていたのに、この輪島市の被災状況だけは新しい映像が出る度にどうしても見てしまっていた。そのほとんどがショックを受けるようなものだったのだが、昨日輪島にある『南谷良枝商店』さんが上げていた動画の中に、初めて安心できるものを見つけた。下記動画の1:00を過ぎたあたり。

 

朝市で見かけた猫、、、どうやら無事らしい。君、"朝市のアイドル"だったのね。

昨日この猫の映像を見つけてから、どういう訳か被災地の映像を何度も見てしまう症状が治まった。まだ被害の全容が掴めない状況が続いている。でも明日からは自分のやるべきことをしっかりとやっていこうと思った。