迎春記

― 手持ち無沙汰なあなたにしがないゲイが小噺を ―

さざ波

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「しゅんは俺にどれくらい会いたいって思ってる?」

 

あぁ。恋人から受け取るLINEの中で、これ以上怖いものがあるでしょうか。たった今僕のところに来たのです。どうしてなのでしょう。

 

僕に何か後ろめたいことがあるとでも言うのでしょうか。

 

でも、神様。あなたならわかるはずです。僕が何も後ろめたいことなどしてないということを。

 

アプリでかっこいいなという人のページを覗きに行ったのがいけなかったのでしょうか。そもそも、恋人がいるのにも関わらずアプリを消していないことを責めているのでしょうか。それとも、恋人にこのブログの事を内緒にしているのがいけない?

 

それらに対して罰を与えていると言うのなら、神様は人間の"誠実さ"と言うものを、あまりに買い被りすぎていると思うのです。人間は理性と同時に本能を持ち合わせていますし、恋人に対する秘密だってあったっていいと思うのです。それが相手を傷つけるものでなければ。

 

 

それとも、僕の愛情表現が足りないと言っているのでしょうか。

 

確かに恋人から言われる「好き」の回数よりも、僕が言う「好き」の回数の方が少ないことは認めます。でも、言葉で伝える「好き」が愛情表現の全てなのでしょうか。

 

僕の家には、ハイボールが好きな恋人のために、自分では飲みもしないウイスキーと炭酸水が常備してあります。登山の時には恋人の分まで予備のヘッドライトを持って行くし、救急キットには、いつもパンパンになるほどの応急処置用品を入れて持って行きます。

 

そういうことではダメなのでしょうか。"聞こえなければ挨拶ではない"と同じように、"伝わらなければ愛情ではない"、のでしょうか。

 

僕はそうは思いません。

 

あぁ。神様。もし、あなたが僕らの愛を試そうとこの"さざ波"を立てているのなら、そんないたずらはやめて、どうか暖かく見守っていてください。

 

僕はただ、自分の中の好きという気持ちを「好き」という二文字の言葉にはめ込んでしまうことが、どうも偽物の様に感じてしまう。ただそれだけなのです。

 

しゅん