私はたまに仕様もない嘘をつく。どんな嘘か？という話の前に、まず私にとって"仕様もなくない"嘘の一例を挙げておく。それは例えばゲイである私が「自分には彼女がいる」とつく嘘。この嘘をついてしまうと、それに続く「GWは彼女とどこかに行くの？」「彼女から結婚の話とかされないの？」といった類の質問にも嘘をつかなければ最初の嘘が成り立たない。こういった、嘘を嘘にしておくためにさらに嘘を重ねなければならない嘘が、私にとっての仕様もなくない嘘の典型例である。では私にとって仕様もない嘘とは何か。例えば今朝私がついた嘘がその好例である。
今日は午前中に恋人と東京体育館で泳ぐ約束をしていたので、9時過ぎに北参道のスタバで待ち合わせをしていた。引継ぎの関係で仕事の予定が輻輳していた私は、作業の整理をしようと7時半の開店に合わせてスタバに向かうことにした。予定通り開店第一号の客として入店した私はドリンクを注文。席に着いて仕事用の手帳を広げ、アレコレと考え巡らせ始める。ちょうどその時だった。恋人からLINEがきた。
「今起きた。俺は予定通りに迎えそうだけど、しゅんの方はどんな感じ？」
まずい。これに対して「自分はもう到着してる」と返信してしまうと、恋人の方も急いで準備をして向かってしまい、一人の時間が削られる。かといって「一人でやりたいことがあるから時間通りに来て」と答えるのもどこか冷たい反応なような気がして憚られた。スターバックスラテを一口飲んだ後で、私は返信した。
「俺も今起きたとこ。ちょうど時間通りに向かうね」
これが仕様もない嘘である。
その後、思惑通り9時過ぎにやってきた恋人と共に東京体育館へ向かった。プールに来たのは4週間ぶり。今日は1,200m泳いだ。やはりこんだけ時間が経つと前回何となくつかめていた感覚を忘れてしまっている。最後の200mは隣のレーンから恋人が泳ぎを見てくれたのだが、今回も左腕をもっと前に伸ばすように指摘が入った。「もっとゆっくり水を掻くように、心の中で１、２、１、２とゆっくり数えながら泳ぐ」「ブレスを４回に１回にして、ブレス無しで左手を伸ばすことだけを意識する」とのアドバイスが入り、これは次回のドリル練習となった。
プールの後で新宿御苑を散歩した。桜はもう散り始めている。だが、散っている桜もまた良い。
その後、夕食を食べに渋谷へ行った。patagoniaに立ち寄ったら、先週ライブペインティングしていた作品が、完成作品として店内に展示されているのに気が付いた。鳥居など日本っぽいものも描かれていて良い。
