迎春記

― 手持ち無沙汰なあなたに贈るゲイの小噺 ―

あなたの浮気はどこから?私は...(後編)

f:id:heckyeah_dude:20200924234415p:image前編では接触の段階をレベル分けし、偉そうに語らせて頂いた。振り返りのためにも一枚画像を張り付けておく。

 

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でも翌々考えてみると、「浮気」というのはあくまでLevel5から(もちろん融合は除外)で、私が皆さんと意識合わせしたかったのは「相手の接触行為のどこまで許せるか?」ということだと思った。後編に入った今や、タイトルを変えるわけにはゆかないから(ちょっと気に入っているし)、このままでいかせてもらうが、本ブログのタイトルの浮気とは、「許容できない相手の行為」という意味で聞いて欲しい。

 

 

結論から言うと、私はLevel5、つまりキスやセックスなどの粘膜接触からが浮気行為だと思っている。何の面白みもなくて申し訳ない。しかし、やはりそれは恋人に許された特権行為であり、恋人以外とその接触行為に及ぶことはその特権を侵害するものだと思っている。

 

しかし世の中には「オープンリレーションシップ」という関係性がある。恋人以外と肉体関係を持つことに関して、予め互いにルールを定めておき、そのルール下においては当該行為を認める関係性である。

 

この概念を知ったとき、非常に合理的だと思った。関係が成熟していくにつれて顕在化しうる難しい課題に対して、予めそれを回避しようとする施策だと思った。しかし、同時に合理的すぎるとも思った。ルールを守っているからと言って、果たして納得できるものなのだろうか。

 

100の質問で回答させていただいた通り、現時点では私はオープンリレーションシップを取るつもりはない。相手からその申し出があれば、きっと付き合いを続けていくことは難しいと思っている。

 

というのも私は、恋人以外の人と体の関係を持つことは、あくまで「不貞行為」に位置付けておきたいからだ。2人の「合意された行為」にはしたくない。そうでなければ、肉欲という観点において、私と私以外が並列になってしまうことが、私には納得がいかない。私とのセックスが無くなっても、私以外とのセックスには、もれなく"後ろめたさ"と嘘を隠し通す"手間"が伴って欲しい。例え肉欲に限った話であっても、そうやって私が私以外よりも優位な存在だと実感できないと不安になってしまう。

 

結局、例え恋人といっても、他人というものを根源的なレベルで信用することができない性格なんだと思う。だから付き合うのであれば、互いの制約となるものが必要になってくる。例えば、貞操義務みたいな。

 

「私と付き合うのなら、貞操義務を負うくらいの"覚悟"を持って欲しい」。そんな気持ちだと思う。貞操義務は相手の私と付き合う覚悟を「担保」してくれる。

 

これが私がオープンリレーションシップを取らない理由である。

 

 

別に恋人が私以外の誰かと体の関係を持つこと自体について、それを全否定するつもりはないし、浮気をすることと別れる/別れないの話は別だと思っている。

 

恋人との精神的な結びつきが強まっていくにつれて、セックスの出番が徐々に少なくなることくらい私だってわかっている。そして、少なくなるのは出番だけで、欲求自体は独立したバイオリズムを持っていることも。

 

そのギャップには苦しさが伴っていることを、私は初めて浮気をしたときに実感した。

 

......そうだ。

 

私はあるのだ。浮気をしたことが。

 

誤解がないように補足しておくが、今の恋人と付き合いだしてからの話ではない。それは元彼時代の話だ。(元彼については、以下『しょう君』とする)。

 

自己弁護のためにさらに補足しておくと、あれは"報復的な"浮気だった。つまり最初に浮気をしたのはしょう君だったのだ(だからと言って、浮気して良い理由にはならないから、自己弁護になっているかは疑問だが)。

 

せっかくだから、私の初めての浮気について、昔話をしてみようと思う。少し長くなるから、時間のある方だけ読んでいただきたい。

 

 

まずは浮気をしようと思ったきっかけ、つまりしょう君の浮気を知ってしまったのは、付き合ってから4年目に行った石垣島旅行の時のことだ。夕飯に散々泡盛をあおっていい気分になったしょう君に、半ば強引に連れていかれた石垣島のゲイバーでのことである。あの時のことは今でも覚えている。

 

当時、店には既に1人の客がいて、自然と我々2人とバーのママを合わせた4人で会話する流れになった。その客は数日前から八重山地方に来ていて、石垣島を中心に離島を巡る一人旅をしているとのことだった。

 

長期の休みを取って沖縄の離島を回る。それも一人旅。かっこいいなーと思っていると、ママが「本当は彼氏と来る予定だったのに、直前に相手の浮気が原因で別れちゃったのよ、この子」と補足した。その客が苦笑いをする。なるほど、そういうことだったのか。

 

そこから、4人で浮気についての議論になった。すると、その途中で顔を真っ赤にしたしょう君が急に大きな声で言ったのだ。

 

「まぁ俺も浮気したことあるけどー!!」

 

は?

 

 

昔から酒に酔ったしょう君には、こういうところがあった。飲みの場で、突如爆弾発言をしたり、やり過ぎな行動を取るのだ。本人はウケ狙いのつもりらしいが、そのほとんどが笑えるものではなく、下手したら相手を怒らせるものだった。過去にあった事例として、友人と海鮮居酒屋で飲んだときに、酔ったしょう君が店内に作られた池に友人を突き落とすなんてのもある。びしょ濡れになった友人はブチ切れ、その後連絡がとれなくなった。要は、酒癖がちょっと良くない。

 

でもまさかその爆弾に、恋人である自分が被弾するとは。しょう君の突然の爆弾発言に、急に店内がシンとなった。言葉を失う私と、突っ込んで良いのか測りかねているママともう一人の客。さすがにまずいと思ったのか、しょう君は「いやでも、あれ、浮気っていうか発展銭湯でやっただけだよ」と補足した。

 

しょう君にとっては、銭湯でのハッテン行為はギリギリセーフのラインだったのだろうか。法律的に完全にアウトだし、Level.5からは完全に黒だと思っている私にとっても、全くフォローになっていなかった。というよりも、それを飲みの場で笑いのネタとして披露してきたのが一番許せない。何だよ、その後ろめたさの無さは。

 

でも湧き上がってきていたのは激しく燃え上がるような感情ではなく、「あー俺たちの関係もついに来るところまで来てしまったな」という寂しいような、諦めのような。そんな氷のような冷たい感情であった。

 

「なんだよそれ(笑)」

 

語尾に(笑)が付くように精一杯声色をコントロールして私は答えた。その繊細で弱々しいボールを、百戦錬磨のゲイバーのママが上手に拾ってくれて、その場は何とか変な雰囲気にはならなかったと思う。

 

しかし、もちろん上手く流せたのはその場だけであって、私の気持ちには全く整理が付かなかった。必死に貞操義務を守ってきた自分が急にバカバカしく思えてくる。

 

だから私は報復を決意した。それが解決策にはならないことを理屈ではわかっている。でもそうしなければ、私の気持ちは収まらなかった。

 

 

浮気をしようと思って、開くアプリは実に新鮮に見えた。

 

「あーこの前ブリーディングしてくれた人、俺もタイプだったんだよなー」とか「気になっていたあの人に声かけてみようかな。確か"その他募集(*)"だったし」とか。そんなことを思いながら、画面上に表示される相手を親指だけで吟味していく。すごい楽だし、すごい楽しい。自分が今まで如何に我慢をしていたのかということを思い知らされた。

 

(*)某出会い系アプリのプロフィール欄にある「募集」という項目(=自分がどういう募集をかけているのかを示す項目)で選べる選択肢の一つ。選択肢は「友達募集」「恋人募集」「その他募集」の3種類があり、「その他募集」とは、つまりそういう募集のこと。

 

それから毎日暇さえあればアプリを使って浮気相手を探した。そして、ついに相手が決まった。

 

・178/85/33

・生息地:湘南

・趣味:サーフィン

 

当時の自分にとっては5、6個年上の、ゴツ目の男性だ。完璧だった。

 

相手の名は『浩二さん』としておく。

 

 

浩二さんとの待ち合わせは、湘南といえば名の挙がる代表的な駅、つまり浩二さんの家の最寄り駅になった。その日の身なりについて大した事前情報はもらっていなかったが、改札を出る手前から、あれが浩二さんだと確信してしまうような男性がそこにはいた。

 

日焼けした顔に、ゆったりとしたネイビーのTシャツとアイボリーとグレーのボーダー柄のサーフパンツを着て、黄色いサンダルを履いた大柄な男性。辞書の「サーファー」という頁を開けば、図として載っていそうな出で立ちだった。

 

「はじめまして、連絡してたしゅんです」

「ども」

 

Level.3。

 

髪の毛は、今海から上がってシャワー浴びてそのままきましたというようなボサボサ加減だったが、自分と違って柔らかい髪質を持っているためか、野暮ったい感じはない。既にセックスしようということで合意済みの私たちは、とくに世間話をすることもなく「じゃ行きますか」と自然と浩二さんの家に向かった。

 

 

浩二さんの家は、駅から10分ほど歩いたところにある海沿いの分譲マンションだった。そこには建物よりもはるかに大きな土地が確保されており、マンションの敷地に入ってから建物のエントランスまでは中庭のようになっている。

 

浩二さんの後ろを付いて歩きながら、自分もいつかこういう所住みたいなと思った。しかし、すぐに自分と浩二さんは5、6個しか離れていないことを思い出す。あと5、6年でその"いつか"が来るとはとても思えない。まだ会ったばかりで2人の関係のスタート地点にいるのに、早速そこから一歩遠のいたような距離感を感じた。

 

中庭からは1階の部屋の玄関がズラリと並んでいるのが見える。そしてその列の真ん中あたりに、大きなビーチクルーザーが止めてある部屋があった。もちろんそこが浩二さんの部屋だった。

 

浩二さんの部屋は、一人暮らしにしては十分すぎる広さの部屋だった。夫婦と子供1人の世帯なら十分に暮らしていける。それに加えて物も少ない。食事と睡眠しかしないのだろうか。これなら自分が暮らす1Kの部屋にだって事足りそうだ。

 

部屋の所々には、脱いだままのTシャツや使ったタオルが無造作に落ちていたが、これだけ広ければそれらはほとんど誤差のようなものだった。とにかくすごい開放感。

 

......でも何だろう。コーディネートされた開放感というよりは、ただ単純に必要以上に部屋が広いせいで結果的に生じた開放感という感じだった。「開放感」と言うよりも「がらんどう」と言った方が良いかもしれない。きっと海に近いというだけで買ったんだろうなと思った。

 

その空間の中で、リビングに置かれたテレビボード周辺だけは異彩を放っている。

 

不気味な笑みを浮かべるトーテムポールやどこかの部族のブーメラン。原色がふんだんに使われたファブリック。そこは日本の「わび・さび」の美意識とはかけ離れた雑貨が詰め込まれ、異国情緒を感じる一角となっていた。その中に額に飾られた1枚の写真をみつける。7、8人の外国人の男女と映った集合写真だった。その一番手前で、浩二さんが片膝をついてアロハサインをしながら笑っている。 

 

「あれ浩二さんって、どっか留学とかしてたんですか?」

「あー。ちょっとだけカリフォルニアに住んでたんだ」

 

また一歩、浩二さんとの距離感が広がった。

 

浩二さんはソファーに座り、いつの間にか冷蔵庫から出してきた缶ビールを飲み始めている。

 

昔は西海岸に住んでいて、今は湘南の広すぎるマンションを買って、サーフィンを楽しんでいるこの男性は、いったい何者なんだろうか。光るサーフボードを割った中から生まれ、月の使者から潤沢な資金援助をもらいながら生活しているとかでなければ納得がいきそうもない。それくらいバックグラウンドのイメージがつかなかった。ひょっとしたら本当に月から来たのかもしれない。

 

当然、会話は続かなかった。この別世界の住人に対して何を話して良いかがわかるはずもない。浩二さんも自分からはほとんど話さない。セックスさえできればいいのだろうか。確かにそういう約束だった。しかし、少し寂しい。これから体を重ねるのだ。少しくらい、人となりを知りたい。

 

話題を探して部屋をうろついていた私は、諦めて浩二さんの隣に腰を落とす。浩二さんからはアバクロだかホリスターだか、その辺で嗅いだことのある香水の匂いが漂ってきた。そして互いに何かを待っているような間があった後、それが気まずさに変わるか変わらないかの絶妙なタイミングで、浩二さんが私の肩に腕を回してきた。思わずビクッとする。Level4。

 

あ。これから自分のボーダーラインをあっさり超えるんだろうな。そう直感した時には、回された手にグッと力が入り、浩二さんの顔が一気に近づいてきた。

 

Level5。

 

ほらね。あっさり。

 

 

私たちはしばらくソファーの上でお互いの身体を触り合いながら、Level5の入口を楽しんだ。大きな浩二さんの身体は確実に自分より体温が高く、私の手からは浩二さんの熱が伝わってくる。そして互いの興奮をそれぞれの手で確認し合ったところで、浩二さんが「ベッド行こう」と言い、私たちはLevel.5の深遠へと向かった。

 

そしてその夜。私は、一線を、超えた。

 

 

その夜はそのまま浩二さんの家に泊まり、次の朝もう一度同じことをした。

 

正直、最高だった。しょうくんに対する罪悪感など微塵も感じなかった。こんなに気持ちの良いことを我慢しているなんて、絶対体に良くないとさえ思った。浩二さんの匂いがするベッドの上で、私はしばらく心地よい事後の余韻に浸る。しかし、突然の「ごめん」という浩二さんの声で、急に現実に引き戻された。

 

「この後予定あってさ、今日はこれで解散でいいかな」

 

さっきまで同じLevel.5の世界で私と体を重ね合っていたはずの浩二さんが、急に月面世界の住人の顔をしている。「あ、大丈夫です。泊めてもらっちゃってすみません」そう答える他なかった。

 

「駅までの道、わかるよね?」という声に見送られ、私は浩二さんの家を出た。浩二さんは"予定"なんて言ってたけど、これからきっと海へ出るのだろう。......そうだ。月面世界なんかじゃない。浩二さんがやって来たのはきっとあの海だ。

 

目の前に広がる海では、海面が朝日を反射して気持ち良く輝いている。しかし、むわっとした生暖かい潮風に吹き付けられると、すぐに体がベタついてきた。

 

 

帰り道、私は頭がぼんやりとして、それが中々元に戻らなかった。ふわふわとして自分が自分でないような感じ。自分の姿をしたキャラクターを別の場所から操作しているみたいだった。目に映る景色も、鼓膜を震わす音の振動も、粗いフィルターを一枚通しているような違和感があった。さすがに久しぶりで2回は疲れたのかな。そんな安直なことも思ったが、すぐに私は昨日との明らかな変化に気が付いた。

 

そうだった。私は性的純潔を失ったのだった。4年間も必死に守り続けてきたそれを。たった一晩で。

 

白絵具に1滴でも黒絵具を落とすと、再び完全な白に戻すことはできないのと同じで、それはもう取返しのつかないことだった。しかも今回私が落とした黒絵具はきっと1滴どころではないのだろう。

 

戻らないんじゃない。もう"戻れない"のだ。

 

私は急に後悔に襲われた。それはしょうくんに対する罪の意識からではない。もう自分はしょうくんの浮気を非難する資格を失ったのだという後悔であった。昨日とは別の、もっと等級の低い世界に"堕ちた"ような気がした。昨日までいたはずの世界ははるか見上げる先にあって、そこへはもう戻ることはできない。

 

私は後悔した。

 

 

それから半年と経たず、しょうくんと別れることになった。その半年間で浩二さんとは4、5回会った。私の場合、浮気は一度すると一気にハードルが下がるみたいだ。しょう君が何回銭湯でハッテン行為に及んだのか私は知らないが、"正式な"浮気を複数回してしまった今、過失の相殺が行われれば、私の方が分が悪いだろう。

 

しかも、それだけ過失を重ねたにもかかわらず、浩二さんとの仲が深まるということはなかった。毎回同じことの繰り返し。夜に浩二さんの家に行ってセックスをして、朝は早くに家を出る。私は帰宅し、浩二さんは海へ向かう。それ以上にも、それ以下にもならなかった。

 

そんな浩二さんとは、しょう君と別れたあとパタリと会わなくなった。フリーになり、貞操義務から解放された私は、何のしがらみもなく新たな出会いを探し始めたのに、そこに浩二さんが入ってくることはなかった。数回の逢瀬を重ねて、浩二さんの人となりはさっぱりわからなかったが、浩二さんの世界に自分の居場所を作ることはできないということだけははっきりしていたからだ。

 

浩二さんのようにサーフィンや登山、マラソン、トライアスロンなどの個人種目を極めている人には、独特の隙の無さがある。そこへ入り込んでいくには、自分も同じくらい堅固な軸を持っていなければならない。それまで周りの流れに身を任せてきた私のふにゃふにゃとした軸では、到底切り込んでいけるとは思えなかった。

 

別のリアルなどで予定が合わず、何回かお誘いを断っているうちに連絡が来なくなった。 恋人ができた今や、私から連絡することもないだろう。

 

だけど浩二さんは、今もきっとあの湘南の海にいる。

 

 

あの一夜には、相手に対する報復だったのだという自分を正当化するような気持ちだったり、久しぶりの快楽だったり、たくさんの感情が詰まっているが、総合するとやっぱり「後悔」という表題が付くと思う。

 

無理やり前向きに捉えるのであれば、浮気をしたときに自分がどういう感情を抱くかということを経験できたことは大きい、といったところか。あの翌朝に感じた"堕ちる感覚"。今後誘惑にかられたとき、きっとそれがブレーキの役目を果たしてくれそうな気がする。あまり気持ちの良いものではなかったから。

 

人というのは結局、感情で動く生き物なのだ。

 

何をしたときに楽しいのか、何をされると傷つくのか。私たちが行動選択をするときは、過去の記憶から、行動とその結果がもたらす感情の因果を引っぱり出してきて、よりポジティブな感情に転びそうな選択をする。だから、色々な経験を通じて自分の感情の記憶を充実させれば、その予測精度だって向上する。そして、その予測精度の高さのことを、私は「自信」と呼ぶのだと思う。あの一夜の経験も、私の感情の記憶の拡充という意味では、決して無駄ではないはずだ。

 

もちろん、浮気を勧めている訳ではない。浮気をしたときにどういう感情になるのか。そんな簡単なこと、普通の人なら想像力を発揮すればわかるのだから。私のように想像力に乏しい人は、時にそれを経験で補わなければならない。ただそれだけの話だ。

 

 

つい先日、某有名水泳選手の不倫報道が飛び込んできた。

 

ああいうニュースを見ると、つくづく浮気って他人事じゃないなと思う。"日本の期待"という私とは比べ物にならないほど大きなものを背負い、幾度となく厳しい戦いをくぐりぬけてきた人でさえ、その誘惑には簡単に負けてしまうのだ。

 

だから、「浮気なんて絶対許せない!」そう声高に叫ぶ人ほど、自分自身の浮気の可能性について心の準備をしておくべきだと思う。相手に向ける刃が鋭くなればなるほど、それが自分に向けられた時に負う傷は深くなるのだから。

 

(おわり)