迎春記

― 手持ち無沙汰なあなたにゲイの小噺を ―

2週間の恋 (3)

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こんばんは!しゅんです。『2週間の恋』の第3話が書き上がりましたので更新します。今日は前置き無しでいきます。

 

目次

はじめに:2週間の恋 (1) - 迎春記

第1章  邂逅:2週間の恋 (1) - 迎春記

第2章  予感:2週間の恋 (2) - 迎春記

第3章  再戦:2週間の恋 (3) - 迎春記

第4章  審議:2週間の恋 (4) - 迎春記

第5章  交流:2週間の恋 (5) - 迎春記

第6章  謀略:2週間の恋 (6) - 迎春記

第7章  切札:2週間の恋 (7) - 迎春記

第8章  変化(1):2週間の恋 (8) - 迎春記

第9章  勝敗:2週間の恋 (9) - 迎春記

第10章  暗転:2週間の恋 (10) - 迎春記

第11章  変化(2):2週間の恋 (11) - 迎春記

最終章  帰結:2週間の恋 (12) 終 - 迎春記

エピローグ:2週間の恋 (12) 終 - 迎春記

あとがき:2週間の恋 (12) 終 - 迎春記

 

今回のお話

第3章  再戦

 

フリートークが不発に終わり、僕は自分がさぞ落ち込んだのではなかったかと思い返してみたのですが、正直そんなことはなかったと思います。

 

その証拠に僕のTwitterには、初対面の人をお姫様抱っこしたり、色んな人のネームシールを奪った写真が上がっていたわけですし。僕はきっと純粋にフリートークを楽しんだんじゃないのかなと思います。

 

良く考えてみれば、人見知りで常に待ち子である僕は、飲み会で気になる人に声をかけられなかったなんていう"負け試合"は、それまでいくらでもあったのです。

 

相手が"マシュマロ君"みたいな試合は今回が初めてでしたが、でも1敗は1敗。良くあることです。僕はそんな気持ちで、容易に諦めることができました。

 

せっかくの重なった偶然を活かせなかったけど、楽しめたしまぁいいか。

 

そんな気持ちでいると、最後にパーティ企画陣から思わぬアナウンスがありました。

 

「この後二次会用のお店も確保しているので、お時間のある方は是非引き続きご参加ください」

 

お。

 

そうです。この時は"敗者復活戦"があったのです。

 

 

二次会はカラオケ付きの個室居酒屋で開催されました。

 

部屋は掘りごたつになっていて、部屋の入口から奥に向かって、並べば3、4人座れる長さの机が縦に3つ並び、一番奥にはカラオケの機械と小さなモニターがありました。

 

参加者は20名ほどだったでしょうか。幸いなことに、雅人も参加してくれていました。

 

席順は自由だったので、最初は各自友達同士のグループが固まって座りました。雅人のグループは一番奥のカラオケ側で、僕は一番入口側の席に、一緒に来ていた友達2人と一緒に座りました。

 

というわけで、最初こそ近くの席は座れなかったんですが、二次会だし、すぐ席の移動が始まって、隣の席に座れるだろうと特に気にしてはいませんでした。

 

 

ところが、席の移動は僕の予想を遥かに上回るくらい流動的でした。席を立つたびに、空いている席が変わるのです。

 

トイレから戻った際はもちろんのこと、カラオケで自分が歌う場合も、モニターが小さくて入口側の人は部屋の奥の方まで近づかなければならなかったので、席を立つ必要がありました。

 

こうした「受動的な移動」に加えて、各々が気になる人の近くへと「能動的な移動」もしますから、部屋の中は"ローテーションがランダムなバレーボールの試合"とでも言うくらい、ひっきりなしに移動がありました。

 

だから、僕は雅人と会話こそできたものの、その時間はわずかで、基本的な情報しか得ることができませんでした。

 

 

僕が雅人に関して知ったのは、まず「住んでいる場所」です。

 

雅人は、僕の最寄りの駅から電車で2時間かかる場所にある実家住みでした。その距離も少し残念でしたが、それよりも僕は当時、部外者立ち入り禁止の会社の寮に住んでいて同じく実家のようなものでしたから「あぁ...お互い"場所無し"かぁ...」なんてことを思ってしまいました。

 

雅人情報のもう一つが「年齢」です。

 

雅人は僕より2つ年下でした。

 

僕はこの時初めて、雅人が年下であることを認識しました。そりゃあ、あの見た目だもの、年下だろうなということは何となく感じていたのですが、数字を聞いて改めて認識し、そして驚きました。

 

だって、僕が年下の子に興味を持ったのは初めてのことだったから。

 

雅人は本当に初めてづくしの子でした。

 

 

僕は、基本的に年上の男性が好きです。それは今でも。

 

僕は、物心ついた時から男性が好きだったタイプのゲイなんですが、僕が性的な関心を初めて抱いたのは、年上の男性の身体に対してだったからです。

 

僕が年上の男性の身体を初めて"性的な"目で見てしまった時のことは、今でもはっきりと覚えています。

 

相手は『ヒロ先輩』。僕が小学校の時に習っていた「少林寺拳法」の先輩です。その時僕は小学4年生で、ヒロ先輩は中学2年生でした。

 

 

少林寺憲法に関しては、僕が習いたいと言ったわけではありません。

 

たまたま小学校に入った時に、最初に仲が良くなったのが『ヨシくん』という友達なのですが、ヨシくんはお寺の子で、そのお父さんが少林寺憲法を教えていたのです。

 

この道院(*1)のことは地元では良く知られていて、ヨシくんのお父さんは生徒を厳しく、でもしっかりと指導してくれるので、少林寺拳法は当時僕の地元では評判の習い事でした。

(*1)少林寺憲法の道場は○○道院(○○には地域名)と呼ばれています。

 

だから僕の親が僕の小学校入学に合わせて、僕と同級生の子供をもつ仲の良い親たちと話を合わせて、みんなで一緒に習わせることに決めたのです。

 

僕は、どんなものなのか大して考えることもなく、ヨシくんがいるなら別にいいかと思って特に反発はしませんでした。だから僕は、小学1年から6年までの間少林寺拳法を習っていました。

 

ヒロ先輩は、その道院の先輩であり、そしてヨシくんのお兄さんです。

 

 

またヒロ先輩は、地元の中学校の問題児でもありました。

 

問題児と言っても、中学生なのにお酒を飲んだり、タバコを吸ったりして学校から呼び出しをされていたという程度のものです。誰かを傷つけるような問題は起こしていなかったと思います(親には迷惑をかけていると思いますけどね)。

 

そんなヒロ先輩の素行については、地元の無駄に発達した情報ネットワークのせいで、僕の親にも伝わっていました。

 

「お寺の子なのにそんなんで大丈夫かよ...」

 

「お父さんはあんな立派な方なのにねぇ」

 

まだ子供の反抗期を経験していなかった僕の両親は、当時そんなことを言っていましたが、僕と兄の2回の反抗期を知った今では、きっとヒロ先輩の気持ちも少しはわかるのではないかなと思います。

 

 

そういったわけで、親たちからは問題児と認識されていたヒロ先輩ですが、僕ら子供からの印象は全く違いました。

 

まず、バレーボールがめちゃめちゃ上手い人だったんです。

 

中学生としては周りより頭ひとつ背の高かったヒロ先輩は、1年生の頃からエース的な存在だったようです。

 

僕の地元はそれまで特筆すべきニュースなんて全くなかったですから、ヒロ先輩の入った中学校のバレー部が、県大会やその上の大会に進む度に、地元の新聞では大々的に報じられました。

 

そのとき新聞に掲載された写真に写った、スラリと背の高いヒロ先輩を見て、憧れを持った子供は多いでしょう。僕もその一人です。子供にとって、スポーツができる先輩というのはヒーロー的な存在なのです。

 

また、地元のその道院では、毎年ヨシくんのお寺で合宿が開催されていたのですが、ヒロ先輩は一緒に少林寺拳法を習っている時はもちろん、中学に上がって辞めてからも、合宿の自由時間は僕たちと遊んでくれました。

 

だからヒロ先輩は子供たちからは人気者で、みんなの良きお兄さん的な存在だったのです。

 

 

僕がそんなヒロ先輩の身体を見たのは、小学4年生の時に、少林寺拳法のイベントとして開催された沖縄旅行での入浴時間です。

 

入浴はホテルの大浴場で学年ごとに決められた引率者と一緒にすることになっていて、引率者としては、旅行に参加していた少林寺拳法を習う大人の人が分担して割り当てられていました。

 

しかし僕ら4年生は、ヨシくんがいるということで、旅行に一緒に来ていたヒロ先輩が割り当てられたのです。

 

 

脱衣室で僕と一緒に服を脱ぎ始めるヒロ先輩。

 

この時の僕は、自分がゲイだなんて思っていなかったですから、ヒロ先輩が下着を下ろすその瞬間に、そこに目を向けていたのは本当に偶然(、かまたは本能的な嗅覚か何か)だったと思います。

 

下着を少し下ろしただけでピロンッと跳ね出す自分のもの(もちろん当時の話ですよ!)と違って、ヒロ先輩のソレは、下着を下ろしていっても中々全貌が明らかにならず、下着のゴムが太腿の中程まで下された頃にようやく、頭がボロンッと出てきました。

 

ヒロ先輩のソレは大きかったのです。

 

大きいと言っても、太くて、黒くて、そんな百戦錬磨の"ボブサップ"みたいな重量感のあるものではなくて、ヒロ先輩のソレはスラリとしていて、スマートで、そしてとても綺麗な色をしていました。僕は"魚肉ソーセージ"みたいだなと思いました。

 

同級生に付いている、自分と同じような"竹の子みたい"なソレ(だからもちろん当時の話ですって!)を見ても何も感じなかったのに、そのヒロ先輩のものに僕はうっとりとして、目が釘付けになってしまったのです。

 

この時、自分の中にそれまで感じたことのない気持ちが生まれていました。

 

僕はそれをずっと見ていたいと思ったし、出来ることなら触れてみて、匂いを嗅いでみて、そしてどんな味がするのか舐めてみたいと思いました。

 

男性器を舐める行為が「フェラチオ」という名で呼ばれていて、一般的にそれは女性がやる行為であると知ったのは、僕がヒロ先輩と同じくらいの歳になってからです。

 

でも今考えると、これが僕の性に対する萌芽だったんでしょうね。

 

だからそれ以来、僕の性的な対象は決まって年上の男性だったのです。

 

 

ローテーションの忙しい2次会はあっと言う間に終わってしまいました。

 

それまでお祭り騒ぎだった部屋の温度が少し落ち着き、帰り支度を始める参加者たち。

 

二次会の会場は僕の家からは遠く、僕は電車の都合ですぐに駅に向かわなければなりません。脳内会議により声をかける言葉を決め、思い切って雅人に連絡先を聞くには、あまりに時間が足りませんでした。

 

もどかしい気持ちを抱えながら、部屋を出て靴を履き始める僕。

 

その時でした。

 

「あの!」

 

後ろから声がかかりました。

 

振り向くと、そこに雅人が立っていました。

 

「あの、良かったらLINE交換しませんか?」

 

...

 

どうやらこの"敗者復活戦"は、僕にとって久々の1勝だったようです。

 

(つづく)

 

★次回のお話:

2週間の恋 (4) - 迎春記

★前回のお話:

2週間の恋 (2) - 迎春記

 

 

事務連絡

 

この度、僕がヒロ先輩との昔話を書いたせいで、『2週間の恋』を予定の5話でまとめることが出来なくなりました。

 

今後もこんなことが続きそうなので、何話完結とは決めずに書いていきます。気長にお読みください。笑

 

では次回をお楽しみに!

 

今週の土日は予定があって書く時間がないので、次週になると思います。

 

ではでは。